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キャラバンQ&A:いとキャラねっと

菅井 裕一先生からの回答

いとしまサイエンスキャラバンで皆さんからいただいた質問への回答です。


Q 糸島では志摩町に2カ所の砕石場がありますが砕石の余剰石粉等の研究は考えているのでしょうか?
 
サイエンスキャラバンで紹介させていただいた研究も採石で生じる余剰石粉についての研究ですので、志摩町の採石場において余剰石粉などが問題になっていればぜひ研究してみたいと思っています。すでに採石等を行なっている北九州の会社さんから余剰砕石をいただいて微生物の活性化効果について調べたことがありますが、秋田の石と同様に高い効果が認められました。微生物の増殖にミネラルは欠かせないものであり、微生物に必須のミネラル源として砕石は好適と考えています。
 



 
Q 前原市の畜産業者は、臭気対策に苦慮しているので是非タイアップして貰いたい。
  牛舎の臭気レベルを下げるのに簡単で有効な手段はないでしょうか?

 
過去に一度豚糞の臭気対策について砕石を用いた実験室レベルでの検討をしたことがあります。結果的には鶏糞と違って豚糞の臭気はあまりうまく抑えられませんでした。この原因として豚糞が水分を多く含んでいることが考えられます。牛糞も同様の理由により悪臭が発します。
 
水分が多いと臭気物質を分解する好気性微生物に必要な酸素(空気)が糞の中にまで十分に行き渡らず、逆に酸素がなくても生きられる微生物(嫌気性微生物)が糞の内部で増えてきてしまいます。この嫌気性微生物が硫化水素やアンモニアなどの悪臭物質を生産するため悪臭が生じるわけです。牛糞の内部にまでうまく空気を送り込めれば好気性微生物が嫌気性微生物を駆逐し優勢種になって、硫化水素を硫酸塩(ほぼ無臭)に、アンモニアを硝酸塩(ほぼ無臭)などに変換して臭気を減らすことができます。
 
したがって糞の内部にまで空気を送り込めるようなシステムにすれば臭気を最小限に抑えることができると思います。定期的に切り返しをしたり、パイプなどで糞の内部に空気を送ったりすることが考えられます。さらに乳酸菌を添加すると、乳酸菌が生産する乳酸によって嫌気性微生物の活動が弱まり悪臭物質の発生を抑えることができます。
 
とはいえ切り返しもかなりの肉体労働ですし、そんなに容易な方法ではないかもしれません。私としては砕石や竹、牡蠣殻などのたくさんの細かな孔があいている素材を糞に混合することによって、細かな孔の中の空気を糞の内部にまで送り込むことができないかと考えています。そうすることによって切り返しの回数を減らすことができるのではないかと考えています。
 


 
Q カキ殻を資源化できませんか?
 
カキ殻の主成分は炭酸カルシウムです。炭酸カルシウムを主成分とする石灰石は資源として採掘され鉄鋼業などに利用されています。ただ、カキ殻を工業的に利用しようとした場合には炭酸カルシウム以外の不純物を多く含むことが問題になるでしょう。
もともとは海のものですから塩分を多く含んでいます。それから貝柱なども殻に付いている場合が多いです。また、カキ殻は結構固いので粉砕の問題もあると思います。
まず資源化するためには、これらの問題をクリアしなければなりません。
 
私の方では、なるべく洗浄等をしない状態での利用用途を検討中で、そうなるとやはり農業資材としての利用になるのかなと考えています。もともと日本の大部分の土壌が酸性土壌ですし、酸性雨(おおよそ日本の雨のpHは6.0以下)も降るので、農家の方はたいてい石灰を畑に散布して土壌のpHを中性付近に調整していると思います。しかし雨が多いのも日本の特徴で、せっかく散布した石灰が雨で容易に流れ出てしまい、再び石灰を撒かなければいけなくなります。しかしカキ殻がうまく利用できれば、石灰とは異なり、カキ殻からじわじわとカルシウム成分が溶け出してきて土壌のpHを調整するとともに、雨が降っても流出せず、効果が長持ちするという利点もあります。このような利点を持つ土壌改良剤として利用できる可能性は高いと考えていますし、このような観点からカキ殻の資源化を目指して研究に取り組んでいます。
 


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 菅井 裕一
 九州大学大学院工学研究院 地球資源システム工学部門 資源開発工学研究室 助教

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